漆刷毛や蒔絵筆に見る日本人の精神性2005年10月21日 11時11分11秒

漆に使う道具に漆刷毛や蒔絵筆というのがありますが、
これらの中に日本人の精神性が見て取れるような気がします。
それは何かと言いますと、毛の部分の長さが調節できるという事です。
漆刷毛は切り出す事で、蒔絵筆は軸の中に仕込まれた糸を引いたり出したりして
毛の長さを調節できるのです。

私は西洋の筆や刷毛の歴史に詳しい訳ではありませんが、
現在目にする刷毛や筆がその完成形だとすると、私の知る範囲では
漆刷毛や蒔絵筆の様に毛の長さが調節可能なものはありません。
つまり、西洋の精神性は必要に応じて道具そのものを変えるというものです。
でも日本古来の漆に使われる漆刷毛や蒔絵筆はこれと違う。
これをどの様に理解するかは難しいところですが、その中には
1つの道具を使いこなそうとする精神、単なる道具ではなく自分の体の一部に
しようとする精神、そんなものが見え隠れしています。
よく言われる道の精神でしょうか。
日本人の精神性が道具にも見ることが出来る気がします。

後日追記
 採取時期、使用する時の温湿度などの様々な条件によって状態の異なる
 天然塗料である漆を使うが故の知恵。
 道具を使う人の個性にも対応する為の知恵。
 道具にそういう余裕を持たせるのが何とも日本的と思いました。
 物事を突き詰めていく西洋科学に対するアンチテーゼかも。
 自然を上手く利用するという思考回路がそこにはある様な気がします。

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