”漆かぶれ”について(予防)2005年11月02日 11時11分11秒

漆かぶれの最大の予防法は漆を皮膚に付けないことに限る。
とにかくこれが一番重要。

長袖、長ズボン、靴下は必須。手にはラテックス手袋と腕には腕カバー。
(腕カバーはラテックス手袋と長袖をつなぐ形で使う。)
顔にはコールドクリーム。ここまでやればまず間違いない。
(と言いたいところだが、それらを脱ぐ時が危ないので要注意。)

漆を付けないという意味で長袖、長ズボン、手袋、腕カバーは判るが、
コールドクリームは?
これはクリームの膜が漆を皮膚に直接付着させない効果と共に、
漆が油で乾固しにくくなる性質などを利用したもの。 *1
(サラダ油を顔に付ける人もいるくらいだ。)
従って、コールドクリームでも水性のものは
漆を皮膚に直接付着させない効果はあると思うが
油で乾固しにくくする効果は期待できないと思われるので要注意。
ここまでが予防。

その上で”ここまでやっても皮膚に付く可能性があるのが漆の怖いところ。”
という意識で初めのうちは漆に接してもらう事が非常に大事だと思う。
そうすればそのうち免疫(?)ができて多少漆がついても気にならなくなる
体質になっている可能性が高い。

なお、上述の対策をしたにも関わらず、漆が皮膚に付いてしまったら
食用油(不揮発性不乾性油)などで漆を丹念に拭き取り、
石鹸でその油分を洗い流す。(これを数回繰り返すと良い。)
その上で漆の付いた皮膚のところにコールドクリームなどを塗っておく。
これが症状緩和処置になる。

ただ、上述の内容はあくまで予防と症状緩和処置なので、
これさえしていれば”必ず漆かぶれが発症しない”という事にはならない点や
体質や体調によっては効果が無い場合もある事を予めご理解下さい。


*1 漆かぶれは漆が乾固する際に皮膚のたんぱく質と結合し、
  皮膚炎となることで発症する(らしい。)。
  従って保湿効果のあるコールドクリームで(皮膚の表面に膜を作り)
  皮膚に接触させない。乾固を遅らす。と共に
  コールドクリームの成分が漆分を薄めて影響を低減するようにする。

”漆かぶれ”について(治療)2005年11月08日 11時11分11秒

これは...今とところ決定的な治療法は無いようだ。
(皆さんのご期待に沿えず済みません。)
巷間では沢蟹、栗、桔梗、温泉(岩手・海上の湯)だとか言われてはいるのだが、
自分自身としては未確認なので治療法としてOKだとは言えない。
また、実際効果があったとしても個人の体質差もあるので
”これならば”誰にでも効くとは言えないのではないかと思う。
とにかく掻かずに我慢するしか無い。
予防に勝る対策なしという事か。

ただ、痒みに効くと言われる薬の中に漆工に使われる
dl-カンフル(樟脳、片脳油などに含まれるもの)、テレピン油(油類)や
酸化チタン(白の顔料)が含まれるものがある
(特にdl-カンフルは必ず入っている感じ)のは面白い。
また、それらのものが含まれる薬の方が痒みに効くと思ってしまうのは職業病か。

漆を学ぶ人が増えつつあるようだ。2005年11月11日 11時11分11秒

最近、漆を学ぶ人(芸術系の学生さん)が増えつつあるようだ。
芸大の○先生の話だとか、当店とお付き合いのある芸術系大学からの
注文(つまり授業で使う漆材の注文)からその様な傾向が見られます。
産地の方の学校はどうか判らないので、正確には芸術表現の手法として
漆芸を考える作家志望の方が増えているというのが正しいかもしれない。
漆芸全体としては増加傾向かどうか不明であるが、
どちらにしろ嬉しい傾向である事は間違いない。

漆にはかぶれが付きまとうのでそれがネックにならないかと思うのだが、
芸術系の学生さんは芸術表現の手法として漆芸を選択するので
かぶれについての問題は後回しになるらしい。(かなり推測入ってる。)
また、漆芸自体があまり場所をとらず、特段の設備も不要(どこでも出来る)であり、
1人でマイペースに出来るのも今の学生さんには向いているらしい。
現代らしいといえば現代らしいが、よくよく考えてみると
(お弟子さんをとらない限り)作家さんは基本的に1人作業であるのだから、
その感覚自体は作家さん向きの思考回路である様に思う。

前の会社でもデザイナーという人たちと話をする機会があって
とても楽しい思いをした覚えがあるので
今後はこういう方々と将来の夢について語り合えたらなぁと思う。
これからが楽しみである。

備考)
 陶芸も作家さんとなれば基本的に1人作業であるのだが
 学校教育においては窯を1人に1個用意も出来ないので
 共同作業となってしまうらしい。他の工芸も同様のようだ。

こんなの受け取りません。その12005年11月17日 11時11分11秒

ホームページを公開するとスパムがすごいとは聞いてたが、本当によく来ます。
店のホームページを積極的に告知するようになってからが特に。

で、”こんなメールは受け取りません集”をご案内します。
覚えのあるメールアドレスからのメールなら注意深く対応しますけど
こんな表題だったらサーバからダウンロードせずに破棄しちゃいます。

(・・・部分は自主規制&省略部分。)
 お待ちしております。
 届いてる?
 ■◇■◇■◇■◇・・・
 未承諾広告※・・・
 セレブな女性の赤・・・
 食欲の秋、入れ食・・・
 ご愛顧感謝プレゼント
 ちょっと一息入れますか?・・・
 さそっていいかしら?
 【NEWS】管理人より
 マジやばです(><)
 【重要】
 金髪娘VS和服婦人
 一生このままでいいんですか?

 などなどなど。

蒔絵に真綿2005年11月21日 11時11分11秒

蒔絵の粉固めに真綿を使う理由をご存知ですか?
他にも理由があると思うが、化繊(合繊)や木綿でない理由は2つ考えられます。

1.静電気が発生しない。
 昔は化繊(合繊)は無かったので化繊(合繊)が出てきた後の
 後付的な理由ではあるのだが、これらの繊維は静電気が発生するのでNG。
 金粉などが静電気で繊維にくっついてしまいます。

 では木綿でも良いのではという気がしますが
 以下の2.の理由でNGになります。

2.繊維が埃になりにくい。
 真綿は蚕の作り出す1本の糸なので糸くずが出にくい。
 出ないと言い切ってもいいのかな(?)
 (従って、真綿でも切り売りのものはあまり良くない。
  端から端まで1本の糸になっている方が良い。)

 この条件だと当然ながら木綿もNGとなります。

逆を言えば、静電気の起こらない1本の繊維からなるものであれば
真綿の代替となりうるということかな。と思われます。
そう単純でもないか。