”漆”とか”うるし”と名の付く怪しい物2007年07月23日 11時11分11秒

久しぶりに大手ホームセンターに行った。
元々の目的はそれではなかったが、
塗料のコーナーに行くと”漆”とか”うるし”と名の付く怪しい物が...
試しにどんなものか買ってみた。
(4種類くらいあったが、比較出来る3種類を購入。)

塗り上がりの比較は今後するとして、まずはパッケージを見る。
”油性漆塗料”、”合成うるし”、”特製うるし(特殊なうるし)”との表記となっている。
ある意味、良心的ではあるのだが素直に”漆”とか”うるし”と書いていない。
ここでまず怪しい。で、次に成分表示。
3つに共通する内容は”合成樹脂”、”有機溶剤”。
また、”漆”、”ウルシオール”、”ラッカーゼ”etcの表記は無い。
う~ん。本物の漆 *1 とは思えない。

本物の漆は合成樹脂ではなく天然樹脂ですよ。
(本物の漆と同じものが合成で作られたという話は聞いたことが無い。)
有機溶剤は入っていませんよ。(漆屋さんの独り言)

どうしても”漆”とか”うるし”と書きたいのか?
本物の漆の高性能さや高級イメージを借りたくてそう書いていると思うと
嬉しいような気もするが、実際は複雑というか気分はあまり良くない。

話がそれてしまったが、”漆”、”うるし”との表記があるもので

【”合成樹脂”とか”有機溶剤”とか書いてあったら本物の漆ではない。】

とういう事が言いたかったのだ。

なお、本物の漆は天然素材であるので普通の塗料と違い変質しやすい。
従ってホームセンターなどで買うのではなく漆屋さんで買うことも大事だ。

*1 ここで言う本物の漆とは、漆の木から採取した樹液を物理的、
   化学的に変質させたものと定義。

追記
 漆製品かなと思って塗装の種類を見るとウレタン塗装となっているものも
 本物の漆を使っていないので要注意。

くじらの髭のヘラ2007年04月20日 11時11分11秒


本日、会員のK様から写真のような鯨の髭で作られたヘラを頂きました。
上から
 いわし鯨
 ながす鯨
 ミンク鯨
の髭で作ったものだそうです。

たまにですが、やはり鯨の髭のヘラを求めてご来店頂く方がいます。
(プロの方が多い。)その場合、近くの桜井釣具店をご紹介して
付いて行く事があるのですが、あの髭がこんな感じになるのかという感じです。
材料としての髭は端がばらけていて、見た感じ椰子の皮みたいなのですが
ヘラになるとプラスチックっぽい。
う~ん。これが鯨の髭のヘラかって感じです。初めて実物を見ました。
昔の人は色んなものを上手く活用していたのだなぁと感心しています。

このヘラは釣竿の穂先を作った時の端材から作られたそうです。
今では鯨は禁漁ですから大変貴重なものです。
会員のK様、貴重なものをありがとうございました。
篤く御礼申し上げます。

胴摺粉と呂色磨粉2007年04月05日 11時11分11秒

     当店で扱っている胴摺粉や呂色磨粉の情報を中心に
     その他の磨粉の情報をまとめてみました。

品名 用途 研磨精度 備考
胴摺粉(緑) 胴摺 0.1μm ・胴摺粉(白)に比べて
  研磨精度が2倍。
・通常は油胴擦り。
  但し、水胴擦りも出来る。
呂色磨粉
(クリーム)
仕上げ
磨き
0.1μm以下 ・呂色磨粉(茶)に比べて
  作業時のからみが少ない。
・種油を塗面に薄く塗り、
  掌、又は綿に磨粉をつけて   
  軽く擦り磨きをする。
チタン白   0.1μm以下  
角粉   0.1μm  

追記
  ・胴擦粉は研ぎ後の胴擦り専用粉です。
    油胴擦りや水胴擦りが可能です。
    蒔絵の粉磨きや、呂色の初磨き(緑)にもご使用いただけます。
  ・胴擦粉(白)は鋭くて力強い粉なので、炭足やキズを消すのに適しています。
  ・胴擦粉(緑)は摺をかける前の仕上げ擦りや、捨て擦りおよび綿目を消すのに適しています。
  ・呂色磨粉は呂色仕上げの摺り漆磨き専用粉です。
    からみつきが少なく、呂色面が白っぽくならず深みのあるつやに仕上がります。
    上擦漆をしっかり乾燥させた後、種油を塗面にうすく塗り、
    拳または綿に磨粉をつけて軽く擦り磨きしてください。

かぶれについての誤解2007年03月28日 11時11分11秒

最近、漆によるかぶれについてかなり誤解がある様なので
カテゴリーを作り、改めて記述してみたいと思う。

一般の方には”漆=かぶれる。”という認識がある。
この認識はほぼ正しい。
しかし、これを”漆器=かぶれる。”と認識している方がいるようで、
この認識は基本的に間違っている。

上述の”漆=かぶれる。”も”ほぼ”と書いているように
正確には正しくなくて、

  ”乾いていない漆=かぶれる。”

が正確で正しい表現となる。
逆を言うと

  ”乾いた漆=かぶれない。”

という事だ。

普通は、
  ”漆器は漆が乾いてから販売されるのでかぶれる事はまずない。”
  ”漆は乾いていない時の名称として一般的だから漆=かぶれる。と言える。”
という事になる。

ただ、漆によるかぶれは(統計学的にみて)個人差があるので詳細は
別項を参照されたい。全くかぶれない人が統計学上1割程度いるので驚きだ。

柿渋のホルムアルデヒド吸収効果2007年03月17日 11時11分11秒

柿渋にはホルムアルデヒド吸収効果があるようです。
   杉の木材(150mm×50mm、厚さ12mm:そんなに大きな木片ではないですね。)に
   柿渋を塗った場合とそうでない場合のデータになります。
   吸収量は未塗装の場合の2倍以上になる様です。
   部屋全体を柿渋で塗ったらその効果はかなり大きそうです。
   シックハウス症候群でお悩みの方は一考の価値ありですね。 *1

柿渋 吸着量(mg) 再放出量(mg) 吸収量(mg)
未塗装 5.989 1.457 4.532
塗装 10.232 0.168 10.064

*1 上表の値は一般的な環境下での実験結果だと思いますので特殊な環境下でも
        効果はあると思いますが、上表にあるレベルの効果は得られない可能性があります。
        柿渋塗装の採用に際しては良くご確認の上、ご判断をお願い致します。


  柿渋の一般性状
     比     重:1.02~10.4
     色     調:赤褐色の液体
     固 形 分:5.6~6.0%
     タンニン :2.5~4.3%
     揮 発 酸:3.0~4.0%