砥粉の成分分析(白・黄・赤の違い) ― 2008年09月17日 11時11分11秒
砥粉には白・黄・赤という色から区別した区分がありますが
実際に何が違うのか気になり問い合わせてみました。
その結果が下表の通りです。
このデータは分析結果ですので、いつでもこの成分割合という訳ではありません。
毎度のことですが、漆と同じく砥粉も基本的には自然の産物です。
その点、予めご了承の程お願い申し上げます。
なお、従来の使い分けはあくまで木肌の色で決まるようですので、
春慶塗のような木肌の色を見せる仕上げの場合は意識する必要がありそうです。
成分 | 白砥粉 | 黄砥粉 | 赤砥粉 |
シリカ(二酸化珪素) SiO2 | 77.56% | 60.58% | 63.12% |
アルミナ(酸化アルミニウム) Al2O3 | 10.20 | 18.02 | 17.42 |
酸化第二鉄 Fe2O3 | 3.17 | 7.90 | 8.69 |
酸化カルシウム CaO | 0.22 | 0.22 | 0.22 |
マグネシア(酸化マグネシウム) MgO | 0.95 | 2.06 | 0.95 |
強熱減量 | 3.10 | 6.28 | 5.53 |
以下はあくまで上表とネットで検索した結果からの推測ですが、
 赤色~黄色は遊離酸化第二鉄の色だそうですので
酸化第二鉄の含有量が主に砥粉の色に影響しているようです。
ちなみに、強熱減量とは500~600℃で熱した場合に生じる
重量減少量(割合)のことのようです。
後日記
漆工界では砥石を削って造られたものを特に砥石粉と言っています。
従って、ここで言う砥粉は黄土を焼いて粉にしたものになります。
ちなみに、輪島地の粉も珪藻土の一種の黄土を蒸し焼きにし粉砕した
粉末との事ですので、砥粉と地の粉には黄土繋がりがみて取れます。
コメント
_ ふらばふ ― 2008年09月22日 10時22分51秒
_ 杉ちゃん ― 2008年10月18日 13時10分01秒
ご連絡が遅くなり誠に申し訳ございません。
ご質問の件ですが、私も化学に疎いので以下は全くの推測ですが、
なんとなくそうかなぁと思えるのではないかと思い記述してみます。
ご納得いかなければ無視して下さい。
酸化第二鉄が多い方が頑丈な下地になのではないかとの事ですが、
頑丈という事についてはどういう頑丈さを要求するかという
定義の仕方により 評価が分かれると思われます。
1)
表中の二酸化珪素は藻類の一種である珪藻の殻の
化石が主成分です。(ほぼ間違いないと思われる推測)
この珪藻の殻には小孔がありますが、
この小孔により漆と砥粉の結合がされると考えられる為、
二酸化珪素の含有量が多いほど漆と砥粉の結合力が
強いことが推測されます。
2)
酸化第二鉄自体は表中の成分の中で一番強度が高そうです。
単体成分レベルでは酸化第二鉄の含有量が多いほど強そうです。
上記はあまり参考にならないかもしれませんがご容赦下さい。
(Wikipediaなどより類推)
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以前からブログの方拝見しておりましたが、丁度私も砥の粉の違いについて気になっておりましたので今回の記事は参考になりました。
私は通常、赤砥粉を下地に使っているのですが、以前修行中に「昔の作品の修理時に、黒漆の下地に白砥の粉を使って綺麗に下地がしてあって......」というようなことを先生がいわれていたことを思い出しました。
この成分表からは杉さまはどのようなことをお考えですか?
私は科学に疎いので、酸化第二鉄が多い方が頑丈な下地になるのかな.....などと考えてしまうのですがあっていますでしょうか。
また、木肌の色以外に砥の粉を使い分けるようなことがありましたら教えて頂けると幸いです。