漆が乾かない場合の確認事項 ― 2006年08月04日 11時11分11秒
漆が乾かない場合、まず以下の点についてご確認下さい。
以下のどれかに該当していると漆が乾かない場合があります。
1)温度、湿度が合わない。
一般的に漆の乾きやすい温湿度は20℃・80%程度と言われておりますが、
その幅はかなりあるので現代において人が実際に生活している部屋に
置かれた室で乾燥させている場合はこれが原因とは考えにくいです。
ただ、室の作りの問題で湿度が逃げやすい場合など低湿度となる
場合においては漆の乾燥が遅くなる傾向にあります。
漆の乾く温湿度のうち、温度は人間の快適範囲なので室の密閉性が
悪くても乾くのですが、湿度は人間の不快範囲なので室の密閉性が
悪いと外気との交換により80%程度の湿度維持ができない為です。
2)油脂が付いたところに漆を塗った。*1
漆は不乾油(植物油や皮脂など)のついた所に塗ると乾きません。
また、不乾油を混入した場合も同様です。
特に漆刷毛を使う前は油を確実に落としてからご利用下さい。
不乾油とは長時間放置しても乾燥しない油(植物油など)の事で
片脳油、ガムテレピン油などは不乾油ではありません。
3)塩分が付いたところに漆を塗った。*1
漆は塩分のついた所に塗ると乾きません。
また、塩分を混入した場合も同様です。
海の貯木場で保管され、脱塩処理(?)されていない木に漆を塗ると
乾きません。木材から加工される場合はその素性にも注意が必要です。
4)上記2)、3)以外の漆が乾かない成分を含む素材に漆を塗った
もしくは混入した。*1
5)ラッカーゼ(酵素)が死んだ漆を塗った。
漆はラッカーゼという酵素の働きで重合反応を起こし乾きます。
従ってこのラッカーゼを殺すと漆は乾かなくなります。
ラッカーゼは高温、低温環境下で死んだり活性が低下します。
6)2層に分離した漆の上澄みを塗った。
精製漆は遅かれ早かれ時間の経過と共に2層に分離します。
上層は乾かない成分(軟質)、下層は乾く成分(硬質)ですので
(保管状態にもよりますが)2層に分離した漆を意識せず取り出すと
上層(軟質)部分のみ使ってしまう場合が往々にしてあります。
この場合、その漆は乾かないことになりますので
上層と下層を同量取り出して練り直す必要があります。
この練り直しをすれば元の漆(乾く漆)に戻ります。
7)購入後、非常に時間が経った漆を塗った。
漆は生ものですので、ご購入後できるだけ早めにご利用下さい。
冷暗所に保管した場合、概ね以下の期間はご利用が可能ですが
段々と漆の乾きが悪くなっていきます。
高温や低温の場所で保管すると乾きが悪くなるのが早くなります。
特に夏場の保管方法によって利用可能期間が変わる印象があります。
(上記5)と関連していると推測されます。)
生漆・生正味・・・約1年
上記以外の精製漆・・・約2年
(呂色、木地呂、塗立、朱合、梨子地、中塗など。)
*1 この状況は意識外で生じる場合が往々にしてあるので
他の漆も塗ってみて他の漆が乾くようであれば
乾かない漆に問題がある可能性があります。
但し、当店の漆と他の漆を比較する場合は
他の漆に揮発性物質が多く混入されていない事が前提です。
(当店の漆には揮発性物質は混入していません。)
カシュー漆や新漆といわれるものの中には揮発性物質が多く含まれており、
その乾き方はペンキなどと同じ気乾です。
(その様な漆には取扱上の注意が書かれている場合が多い。)
この場合、両者の乾く原理が全く違うので比較の対象としては
意味をなしません。
以下のどれかに該当していると漆が乾かない場合があります。
1)温度、湿度が合わない。
一般的に漆の乾きやすい温湿度は20℃・80%程度と言われておりますが、
その幅はかなりあるので現代において人が実際に生活している部屋に
置かれた室で乾燥させている場合はこれが原因とは考えにくいです。
ただ、室の作りの問題で湿度が逃げやすい場合など低湿度となる
場合においては漆の乾燥が遅くなる傾向にあります。
漆の乾く温湿度のうち、温度は人間の快適範囲なので室の密閉性が
悪くても乾くのですが、湿度は人間の不快範囲なので室の密閉性が
悪いと外気との交換により80%程度の湿度維持ができない為です。
2)油脂が付いたところに漆を塗った。*1
漆は不乾油(植物油や皮脂など)のついた所に塗ると乾きません。
また、不乾油を混入した場合も同様です。
特に漆刷毛を使う前は油を確実に落としてからご利用下さい。
不乾油とは長時間放置しても乾燥しない油(植物油など)の事で
片脳油、ガムテレピン油などは不乾油ではありません。
3)塩分が付いたところに漆を塗った。*1
漆は塩分のついた所に塗ると乾きません。
また、塩分を混入した場合も同様です。
海の貯木場で保管され、脱塩処理(?)されていない木に漆を塗ると
乾きません。木材から加工される場合はその素性にも注意が必要です。
4)上記2)、3)以外の漆が乾かない成分を含む素材に漆を塗った
もしくは混入した。*1
5)ラッカーゼ(酵素)が死んだ漆を塗った。
漆はラッカーゼという酵素の働きで重合反応を起こし乾きます。
従ってこのラッカーゼを殺すと漆は乾かなくなります。
ラッカーゼは高温、低温環境下で死んだり活性が低下します。
6)2層に分離した漆の上澄みを塗った。
精製漆は遅かれ早かれ時間の経過と共に2層に分離します。
上層は乾かない成分(軟質)、下層は乾く成分(硬質)ですので
(保管状態にもよりますが)2層に分離した漆を意識せず取り出すと
上層(軟質)部分のみ使ってしまう場合が往々にしてあります。
この場合、その漆は乾かないことになりますので
上層と下層を同量取り出して練り直す必要があります。
この練り直しをすれば元の漆(乾く漆)に戻ります。
7)購入後、非常に時間が経った漆を塗った。
漆は生ものですので、ご購入後できるだけ早めにご利用下さい。
冷暗所に保管した場合、概ね以下の期間はご利用が可能ですが
段々と漆の乾きが悪くなっていきます。
高温や低温の場所で保管すると乾きが悪くなるのが早くなります。
特に夏場の保管方法によって利用可能期間が変わる印象があります。
(上記5)と関連していると推測されます。)
生漆・生正味・・・約1年
上記以外の精製漆・・・約2年
(呂色、木地呂、塗立、朱合、梨子地、中塗など。)
*1 この状況は意識外で生じる場合が往々にしてあるので
他の漆も塗ってみて他の漆が乾くようであれば
乾かない漆に問題がある可能性があります。
但し、当店の漆と他の漆を比較する場合は
他の漆に揮発性物質が多く混入されていない事が前提です。
(当店の漆には揮発性物質は混入していません。)
カシュー漆や新漆といわれるものの中には揮発性物質が多く含まれており、
その乾き方はペンキなどと同じ気乾です。
(その様な漆には取扱上の注意が書かれている場合が多い。)
この場合、両者の乾く原理が全く違うので比較の対象としては
意味をなしません。
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