カシューを塗ったものは漆器と呼べるのか。2010年05月14日 12時29分57秒

ご質問)
カシューの木の樹液を利用したカシュー塗料というのがあります。
実際カシューの木もウルシの仲間らしいのですが、
はたして、このカシューを塗ったものは、漆器と呼べるのでしょうか?
漆器の定義を調べると、漆を塗った器など、とのことですが、
漆も何種類かあるかと思います。どこまでが漆に含まれるのでしょうか?

補足
カシューがウルシとは違う植物であることは、心得ておりますが、
カシューはウルシ科の植物との記述が、広辞苑など各種書籍に散見されます。
ウルシとは完全に一緒のものではないにしろ、ウルシの親類に当たる、
ウルシに良く似た塗料を用いたものは、“漆器”と呼べるのかどうか、
(根拠を含めて)そこが知りたいのです。


回答)
日本漆器協同組合連合会の
家庭用品品質表示法・雑貨工業品表示規定によると
全国漆業連合会の規定する漆を塗ったもの *1 を

品名 漆器
表面塗装の種類 漆塗装

と表示できるとあります。
全国漆業連合会の規定する漆は
ウルシ科ウルシ属植物の樹液とあります。

カシューはウルシ科ではありますが、
品名は合成樹脂塗料とありますし、
成分は××××、××、有機溶剤とありますので
漆と呼べるものではありません。
従って漆器とは言えないという事になります。

また、カシューには危険物第4類、第二石油類、危険等級Ⅲとある事も
付け加えておきます。

*1 添加剤も認めれられているが、昔ながらの材料がほとんど。
硬化剤は新しい材料であるが、最大でも10%を超えない事を求められている。

追記&補足
上記の回答では規定に”表面塗装の種類 漆塗装”とあるので
上塗りの話を前提で進めてしまいましたが、
ご質問者は上塗りを特に意識していたかどうか判らないので
以下に追記&補足致します。

日本漆器協同組合連合会の上記規定は表面塗装(上塗り)に関するものです。
つまり、中塗り、下地についてはこの規定は適用されません。
表面塗装(上塗り)が漆であれば漆器と言えるという事になります。
カシュー下地(ほかに渋下地、膠下地なども含む)で上塗りが漆であれば
漆器と表示できる事になります。