漆屋さん通信 その7 ― 2010年01月25日 08時57分30秒
前回は漆のブツはカサブタと同じであり、
これがある漆器の方が良い漆を使っている可能性が高い
というお話をさせて頂きました。
それでもブツは無い方が良いと思うのは人情ですが、
漆に抗菌性があるという話になると気分は変わってきます。
店頭掲示にもありますが、漆を塗った被検材料の場合、
一時期世間を騒がせたO157やMRSA、サルモネラ、
腸炎ビブリオなどが時間経過と共に減少する事が
実験結果として示されています。
漆を塗っていない被検材料の場合は
時間経過と共に菌の増減がある事からすると
漆分の少ない漆様塗料 *1 では抗菌性が
あまり期待できない事は容易に想像できます。
皆さんは見栄えが良い漆様塗料と
ブツがあるけれど抗菌性のある本物の漆のもの
どちらをお選びになりますか?
ちなみに、ブツは使っているうちに磨耗して無くなります。
*1 ここで言う漆様塗料とはラベルには”漆”や”うるし”の
表示があっても、成分表示を見ると合成樹脂、
有機溶剤などと記載されているものを指しています。
* 以前配布した資料の再掲です。
これがある漆器の方が良い漆を使っている可能性が高い
というお話をさせて頂きました。
それでもブツは無い方が良いと思うのは人情ですが、
漆に抗菌性があるという話になると気分は変わってきます。
店頭掲示にもありますが、漆を塗った被検材料の場合、
一時期世間を騒がせたO157やMRSA、サルモネラ、
腸炎ビブリオなどが時間経過と共に減少する事が
実験結果として示されています。
漆を塗っていない被検材料の場合は
時間経過と共に菌の増減がある事からすると
漆分の少ない漆様塗料 *1 では抗菌性が
あまり期待できない事は容易に想像できます。
皆さんは見栄えが良い漆様塗料と
ブツがあるけれど抗菌性のある本物の漆のもの
どちらをお選びになりますか?
ちなみに、ブツは使っているうちに磨耗して無くなります。
*1 ここで言う漆様塗料とはラベルには”漆”や”うるし”の
表示があっても、成分表示を見ると合成樹脂、
有機溶剤などと記載されているものを指しています。
* 以前配布した資料の再掲です。
柴田是真 ― 2010年01月09日 14時30分51秒
本日、午後10時からテレビ東京の美の巨人で
柴田是真が取り上げられるので、
漆芸にご興味のある方は是非ご覧ください。
関連して近況のお話ですが、
先日、三井記念美術館の”柴田是真 漆×絵”を
見てきました。非常に面白かった。
だまし漆器、紙に漆で描いた絵、高蒔絵の重箱・・・
だまし漆器は触れないと実感は湧かないのでホウホウと
感嘆するだけだが、紙に漆で描いた絵は良かった。
特に動物、繊細な筆致や、デフォルメされたその表情など
楽しさが加わった絵になっていた。
よく漆でこんな繊細な線が引けるなぁという感慨も。
高蒔絵の重箱はただただ圧巻。
五段重だから?いやいやそれでけでは無い。
三井記念美術館の”柴田是真 漆×絵”は
2月7日までだからこの放送を見てから行ったら
感じ方が違ったかも。
柴田是真が取り上げられるので、
漆芸にご興味のある方は是非ご覧ください。
関連して近況のお話ですが、
先日、三井記念美術館の”柴田是真 漆×絵”を
見てきました。非常に面白かった。
だまし漆器、紙に漆で描いた絵、高蒔絵の重箱・・・
だまし漆器は触れないと実感は湧かないのでホウホウと
感嘆するだけだが、紙に漆で描いた絵は良かった。
特に動物、繊細な筆致や、デフォルメされたその表情など
楽しさが加わった絵になっていた。
よく漆でこんな繊細な線が引けるなぁという感慨も。
高蒔絵の重箱はただただ圧巻。
五段重だから?いやいやそれでけでは無い。
三井記念美術館の”柴田是真 漆×絵”は
2月7日までだからこの放送を見てから行ったら
感じ方が違ったかも。
漆屋さん通信 その6 ― 2009年09月24日 11時11分11秒
今回のテーマは漆器にある”ブツ”についてです。
Vol.2でもちょっと触れましたが、木にとっての漆は
人間で例えるなら血液と似ています。
それを如実に表しているのがこの”ブツ”です。
勘の良い方はお気づきだと思いますが、
これは人間のカサブタと同じだと考えられます。
この”ブツ”の原因は空気中の塵です。
漆が乾く前に付着した場合、漆から見れば異物であるので
それを排除するように(カサブタのごとく)盛り上がります。
塵が固まるので気分的には良くないかもしれませんが、
この”ブツ”が出来ない漆器は逆説的に言うと
漆の本来の機能を持たない、漆分の少ない漆を使っている
=悪い漆で作られたものと考える事が出来ます。
漆器の業界は小さい業界なのでクリーンルームのような
大規模な設備はなかなか持つことはできません。
従って作者の製作姿勢を疑う程のものでなければ
多少のブツは気にせず、良い漆を使ったものを
選ばれる事を漆屋さんとしてはお勧めします。
お椀の場合であるなら外側に多少のブツがあっても
内側にブツが無い(少ない)なら漆屋的にはOKです。
漆の事を知っていないと...なのですが、良い漆を使った品は
塗膜の強度も高いので結果的に良い買い物になります。
* 以前配布した資料の再掲です。
Vol.2でもちょっと触れましたが、木にとっての漆は
人間で例えるなら血液と似ています。
それを如実に表しているのがこの”ブツ”です。
勘の良い方はお気づきだと思いますが、
これは人間のカサブタと同じだと考えられます。
この”ブツ”の原因は空気中の塵です。
漆が乾く前に付着した場合、漆から見れば異物であるので
それを排除するように(カサブタのごとく)盛り上がります。
塵が固まるので気分的には良くないかもしれませんが、
この”ブツ”が出来ない漆器は逆説的に言うと
漆の本来の機能を持たない、漆分の少ない漆を使っている
=悪い漆で作られたものと考える事が出来ます。
漆器の業界は小さい業界なのでクリーンルームのような
大規模な設備はなかなか持つことはできません。
従って作者の製作姿勢を疑う程のものでなければ
多少のブツは気にせず、良い漆を使ったものを
選ばれる事を漆屋さんとしてはお勧めします。
お椀の場合であるなら外側に多少のブツがあっても
内側にブツが無い(少ない)なら漆屋的にはOKです。
漆の事を知っていないと...なのですが、良い漆を使った品は
塗膜の強度も高いので結果的に良い買い物になります。
* 以前配布した資料の再掲です。
漆屋さん通信 その5 ― 2009年08月25日 11時11分11秒
前回の良い漆の定義は”添加物の無い漆”でした。
ではこの漆を使った漆器(=良い漆器)を購入する為の
チェックポイントをお教え致します。
①塗りっぱなしの場合は光沢が無い漆なので
基本的には光沢の無い漆器を選ぶのが無難です。
②良い漆を使った塗りっぱなしの漆器は持った時に
フワッとした感触があるのが特徴です。
これは触り比べてみないと判りません。
だから、漆器店では器を触るのが基本となります。
漆器を触らせない漆器店は注意が必要です。*1
③呂色磨きを施したものは鏡面磨きをしたものになるので
光沢がありますが、その場合、光沢面を蛍光灯などに
かざして見ると、蛍光灯が歪み無く投影されます。
光沢のある場合、歪みのあるものは避けましょう。
(良い漆を使った漆器の例外。意外と判断が難しい。)
④信頼できるお店で購入すること。
新しい添加物が出てきているので①~③を満たしても
変なものをつかむ可能性を完全には否定できません。
従って信頼のおける店で購入する事も重要な要素になります。
*1 作家の個展の場合などは皮脂汚れなどを嫌うために
直接手では触れない建前をとっている場合があります。
この場合であっても通常使用で手に取る前提のものであれば
”質感を見たいので。”と言えば触らせてくれると思います。
* 以前配布した資料の再掲です。
ではこの漆を使った漆器(=良い漆器)を購入する為の
チェックポイントをお教え致します。
①塗りっぱなしの場合は光沢が無い漆なので
基本的には光沢の無い漆器を選ぶのが無難です。
②良い漆を使った塗りっぱなしの漆器は持った時に
フワッとした感触があるのが特徴です。
これは触り比べてみないと判りません。
だから、漆器店では器を触るのが基本となります。
漆器を触らせない漆器店は注意が必要です。*1
③呂色磨きを施したものは鏡面磨きをしたものになるので
光沢がありますが、その場合、光沢面を蛍光灯などに
かざして見ると、蛍光灯が歪み無く投影されます。
光沢のある場合、歪みのあるものは避けましょう。
(良い漆を使った漆器の例外。意外と判断が難しい。)
④信頼できるお店で購入すること。
新しい添加物が出てきているので①~③を満たしても
変なものをつかむ可能性を完全には否定できません。
従って信頼のおける店で購入する事も重要な要素になります。
*1 作家の個展の場合などは皮脂汚れなどを嫌うために
直接手では触れない建前をとっている場合があります。
この場合であっても通常使用で手に取る前提のものであれば
”質感を見たいので。”と言えば触らせてくれると思います。
* 以前配布した資料の再掲です。
漆屋さん通信 その4 ― 2009年08月08日 11時11分11秒
さて、この通信も第4回目となりました。
これからは”良い漆器=良い漆を使っているもの”
という定義に基づいて話を進めていきます。
良い漆とは何かという事ですが、
そもそも漆と呼べるものの定義がいい加減です。*1
また、実際に漆に接していて思うのですが、
目の前で時々刻々変化していく漆をある時点で
等級付けしても意味が無く感じます。という事で、
漆屋さんの良心に従って良い漆を定義しますと、
①添加物の無い漆
という事になります。個人的には
②漆と同系統の植物由来のものを添加した漆
までは自然由来の植物系で統一されているという事で
許されると考えますが、今回は良い漆の判別方法まで
お話をしますので、今回は①のみを良い漆と定義します。*2
次回は良い漆を使っているかいないかを
判別する方法についてお話します。
*1 塗料中に含まれる漆分が数%でも漆と呼んでいい事になっています。
*2 ②までを良い漆とすると、良い漆の判別方法が複雑になります。
* 以前配布した資料の再掲です。
これからは”良い漆器=良い漆を使っているもの”
という定義に基づいて話を進めていきます。
良い漆とは何かという事ですが、
そもそも漆と呼べるものの定義がいい加減です。*1
また、実際に漆に接していて思うのですが、
目の前で時々刻々変化していく漆をある時点で
等級付けしても意味が無く感じます。という事で、
漆屋さんの良心に従って良い漆を定義しますと、
①添加物の無い漆
という事になります。個人的には
②漆と同系統の植物由来のものを添加した漆
までは自然由来の植物系で統一されているという事で
許されると考えますが、今回は良い漆の判別方法まで
お話をしますので、今回は①のみを良い漆と定義します。*2
次回は良い漆を使っているかいないかを
判別する方法についてお話します。
*1 塗料中に含まれる漆分が数%でも漆と呼んでいい事になっています。
*2 ②までを良い漆とすると、良い漆の判別方法が複雑になります。
* 以前配布した資料の再掲です。