絵漆に弁柄を使う理由(Yahoo!知恵袋の補足) ― 2010年05月07日 14時03分06秒
Yahoo!知恵袋で表題の様な質問があったので
回答していたのですが、言葉足らずで上手く伝わっていない議論の最中に
投稿の期限が来てしまい追記が出来ないのでここで再掲します。
知恵袋での回答の中で私は弁柄を絵漆の中に入れるのは
(簡単に言うと、)弁柄の比重が重いため、結果として金が無駄になりにくいと表現しました。
やりとりの詳細は以下のURLでご確認下さい。
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1040027215
自分の表現が良くなかったのだとは思いますが、
比重という部分が強調されすぎて誤解されているようです。
言いたかった事は以下の通りです。
イメージの方が判りやすいと思いますので記述しますが、
穏やかな(濁りのない)湖の浅瀬の砂浜で金属を落としたとします。
(比重は水<砂<金属とする。)
1)すると、金属はどこに存在する事になるかと言うと、
→金属は砂の上(水の下)に存在する事になります。
ちなみに、この時の比重は砂<金属ですが、金属は砂の下には埋まりません。
比重の低いものの方に流動性がある場合には比重が重いものが下になりますが、
(例外もあります。水に浮く船など。浮力などのせい。)
そうでなく安定している場合は比重が大きくても下にならない場合があります。
(金属粒子が砂の粒子より細かい場合は潜りますが、
この場合は特殊な例として除く。)
2)では、1)の時の水の層が薄いとどうなるでしょう?
→金属の厚みより水の厚みが薄ければ水の上に金属の一部が顔を出します。
3)では、1)の時の水の層が厚いとどうなるでしょう?
→金属は水底の奥深くに沈んでしまいます。
4)前提条件が違ってきてしまいますが、もうひとつ判りやすくするための例として
波などで砂が舞い上がり濁った状態の所に金属を落とし、
濁りが無くなった状態になったら金属はどうなるでしょう?
→金属は砂の下に沈みます。
振り返って(研ぎだし蒔絵以外の)蒔絵の技法を見てみます。
(研ぎだし蒔絵はあえて沈めるので除外。)
(上記の例1)~4)の水を漆、砂を弁柄、金属を金粉と置き換えて下さい。)
①弁柄を入れた(絵)漆で下絵を付け、
②表面が半乾きになるまで待ち、
③金粉を蒔く。
弁柄の比重は漆に比べてかなり大きいので早く弁柄が沈下します。
従って②の段階は穏やかな湖の浅い砂浜に該当した状態になります。
この時の絵漆が2)の状態になるような配合で作ってあったとします。
そこに金を蒔きます。そうすると、金粉は漆の上に顔を出しますね。
これが、絵漆に弁柄を入れる理由だと言いたかったのです。
絵漆の要件として(細い線が描けるよう、漆の)流動性をなくす事や
金粉を接着させるだけの厚みが必要というのもあり
(ちなみに、漆は厚く塗るとチジレが発生します。)、
弁柄を混ぜる事でこれを実現できていますが、弁柄である必要は無いと思われます。
昔からある顔料だから使われている感があると思います。
pandagratinさん、borislissさん、私の言いたかった事は伝わりましたか?
もし、まだ不明の点などありましたらコメントなり何なりして下さいね。
第三者に物事を正確に伝えるのは難しいですね。
どうしても自分の頭の中にある事は当たり前の事として飛ばしてしまうので
上手く伝えられずにすみませんでした。
中間の説明を飛ばしてしまったのが誤解の元でした。
比重という言葉は漆と弁柄の間で使われるべきものでした。
お二人とも興味をお持ちの様ですから、是非、感想・返信を下さいね。
(お二人をご存じの方は是非ここを紹介して下さい。)
pandagratinさん、私は業界のものとして納得いかないものが
ベストアンサーになるのはどうしても気に入りません。
この内容で良ければ再度回答しますので前回の質問を削除して
再質問して下さい。その際はご連絡を宜しくお願い致します。
参考)
絵漆・・・蒔絵の基礎に使われる漆のこと。蒔絵の下絵を付ける為の漆。
漆絵に用いる彩色用の顔料を混ぜた漆は色漆、練り漆などという。
回答していたのですが、言葉足らずで上手く伝わっていない議論の最中に
投稿の期限が来てしまい追記が出来ないのでここで再掲します。
知恵袋での回答の中で私は弁柄を絵漆の中に入れるのは
(簡単に言うと、)弁柄の比重が重いため、結果として金が無駄になりにくいと表現しました。
やりとりの詳細は以下のURLでご確認下さい。
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1040027215
自分の表現が良くなかったのだとは思いますが、
比重という部分が強調されすぎて誤解されているようです。
言いたかった事は以下の通りです。
イメージの方が判りやすいと思いますので記述しますが、
穏やかな(濁りのない)湖の浅瀬の砂浜で金属を落としたとします。
(比重は水<砂<金属とする。)
1)すると、金属はどこに存在する事になるかと言うと、
→金属は砂の上(水の下)に存在する事になります。
ちなみに、この時の比重は砂<金属ですが、金属は砂の下には埋まりません。
比重の低いものの方に流動性がある場合には比重が重いものが下になりますが、
(例外もあります。水に浮く船など。浮力などのせい。)
そうでなく安定している場合は比重が大きくても下にならない場合があります。
(金属粒子が砂の粒子より細かい場合は潜りますが、
この場合は特殊な例として除く。)
2)では、1)の時の水の層が薄いとどうなるでしょう?
→金属の厚みより水の厚みが薄ければ水の上に金属の一部が顔を出します。
3)では、1)の時の水の層が厚いとどうなるでしょう?
→金属は水底の奥深くに沈んでしまいます。
4)前提条件が違ってきてしまいますが、もうひとつ判りやすくするための例として
波などで砂が舞い上がり濁った状態の所に金属を落とし、
濁りが無くなった状態になったら金属はどうなるでしょう?
→金属は砂の下に沈みます。
振り返って(研ぎだし蒔絵以外の)蒔絵の技法を見てみます。
(研ぎだし蒔絵はあえて沈めるので除外。)
(上記の例1)~4)の水を漆、砂を弁柄、金属を金粉と置き換えて下さい。)
①弁柄を入れた(絵)漆で下絵を付け、
②表面が半乾きになるまで待ち、
③金粉を蒔く。
弁柄の比重は漆に比べてかなり大きいので早く弁柄が沈下します。
従って②の段階は穏やかな湖の浅い砂浜に該当した状態になります。
この時の絵漆が2)の状態になるような配合で作ってあったとします。
そこに金を蒔きます。そうすると、金粉は漆の上に顔を出しますね。
これが、絵漆に弁柄を入れる理由だと言いたかったのです。
絵漆の要件として(細い線が描けるよう、漆の)流動性をなくす事や
金粉を接着させるだけの厚みが必要というのもあり
(ちなみに、漆は厚く塗るとチジレが発生します。)、
弁柄を混ぜる事でこれを実現できていますが、弁柄である必要は無いと思われます。
昔からある顔料だから使われている感があると思います。
pandagratinさん、borislissさん、私の言いたかった事は伝わりましたか?
もし、まだ不明の点などありましたらコメントなり何なりして下さいね。
第三者に物事を正確に伝えるのは難しいですね。
どうしても自分の頭の中にある事は当たり前の事として飛ばしてしまうので
上手く伝えられずにすみませんでした。
中間の説明を飛ばしてしまったのが誤解の元でした。
比重という言葉は漆と弁柄の間で使われるべきものでした。
お二人とも興味をお持ちの様ですから、是非、感想・返信を下さいね。
(お二人をご存じの方は是非ここを紹介して下さい。)
pandagratinさん、私は業界のものとして納得いかないものが
ベストアンサーになるのはどうしても気に入りません。
この内容で良ければ再度回答しますので前回の質問を削除して
再質問して下さい。その際はご連絡を宜しくお願い致します。
参考)
絵漆・・・蒔絵の基礎に使われる漆のこと。蒔絵の下絵を付ける為の漆。
漆絵に用いる彩色用の顔料を混ぜた漆は色漆、練り漆などという。
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